お店には
毎日様々なお客様が来店する。
常連さんから、初めての方まで。
今回は
愛知県でお店をやっていた時の
印象に残っている
その名も
「怒りんぼおばさん」
ごめんなさい、勝手にそう名付けて(-_-;)
とのエピソードをご紹介しよう。
怒りんぼおばさん
見た感じは
中年くらいの
ふくよか・・・というか
やっと歩いているというくらいの小柄な女性。
いつも一人で訪れる。
初来店
夏の暑い日。
イチゴのかき氷を注文。
もくもくと召し上がり
突然立ち上がり
お会計。
お金を払い終え
出口で何やらブツブツ・・・。
なんだか怒っている感じ。
しかし何をおっしゃってるのか分からず
独り言のような・・・。
でも明らかにご立腹の感じ。
何か不手際があったかな
と不安になりながら
様子を伺っていたが
そのままお帰りになられた。
なんだったんだろう。
2回目
数日後、また同じように表れたお客様。
ズカズカズカと
不機嫌な顔で席に座り
注文したのは
イチゴのかき氷。
これで一つ不安はぬぐえた。
初来店の時も注文された
イチゴのかき氷。
もしかしたら美味しくなくて
ご立腹だったのかな
と心配だった。
しかし今回も
イチゴのかき氷。
ということは
不機嫌だったのは
このせいではないかな。
そして前回同様
もくもくと召し上がり
お会計へ。
そして
お金を払い終え
出口へ向かいながら
何やらブツブツ・・・。
明らかにご機嫌斜め。
でもそれはお店に向けられたものというよりは
何か他の理由によるもの
そんな感じだった。
しかし、何をおっしゃっているか
聞き取れないまま、その場を去って行った。
恐らく、言葉にはなっていない
日本語だけど意味不明な言葉。
なんだったんだろう・・・。
そして何度かそんな感じでの
来店が続いた。
恐怖の来店
そして
その日はやってきた。
同じように訪れた怒りんぼおばさん。
その頃には、
私の中に恐怖心が芽生えていた。
普段そんなに強い口調で怒られた経験もあまりないし
意味不明の行動に不安感が募っていた。
そんな中
同じようにイチゴのかき氷を食べ終え
お会計に。
お金を払い終え
出口に向かった。
扉が上手く開かなかったのか
少し戸惑った。
その後戻ってきて
大声で何やら激高。
「☆・*〇◇+*◇●◎ヽ(`Д´)ノ!!!」
と言った感じ。
全く何を言っているかは分からないが
捨て台詞のように激しく怒りを放ち
立ち去って行った。
その瞬間
恐怖で体が硬直し
動くことができなかった。
(((ʘ ʘ;)))
何が起こっているのか
状況が理解できない。
スタッフも他のお客様も
あっけにとられて
ポカンとただただ見送ることしかできず
静まりかえった空気だけが
シーンと音を立てているようだった。
なんだったんだろう・・・。
迷惑おばさん
昨今テレビの報道でも取り上げられる
迷惑おばさん。
ご近所トラブルで、
騒音を出して怒りまくる。
まるでそんな感じだった。
怒りの矛先は、お店ではなく
とにかくすべてのことに苛立っている。
何が原因という訳ではなく
ちょっとしたことに怒りがこみ上げる。
そんな様子。
偶然の再会
ある日、買い物へ行った時
出会ったのだ。
その怒りんぼおばさんに。
離れたところから
そっと観察していると
買い物をしながら
いつものように
モゴモゴと何やら怒り口調で
不機嫌な様子。
そして買い物を済ませて
何に対してという訳でもなく
怒りながら立ち去って行った。
いつものことなんだ。
そう分かり
少し安心したような
複雑な気持ちになった。
そしてまた訪れる
そして数日後
また同じように私の店を訪れる。
その度に私は恐怖で体が固まる。
緊張感で空気が張り詰める。
いつものように
モゴモゴと何か言いながら
明らかに不機嫌。
食べるのは
イチゴのかき氷。
おわりに
夏が終わるころには
怒りんぼおばさんの姿は見かけなくなった。
イチゴのかき氷
気に入ってくれてたのかな。
そんな風に思うと
怒りんぼおばさんも
ちょっと愛おしくさえ感じるが
やはり怒りのエネルギーは
あまり感じたいものではない。
色んなお客様がみえて
様々な物語が生まれていく。
人がお店で過ごす時間は
人生のうちのたった一瞬かもしれないが
それぞれの人生模様を垣間見れるような
そんな場所でもあるなと最近感じる。
たとえどんな状況であれ
このお店に足を運んでくれた
それはとても嬉しいこと。
一つ一つの出逢い
大切にしていきたい。
でもやっぱり
優しい空気が流れて欲しいな(;'∀')
そんな思いで
今は伊豆高原、珈琲屋美豆で
今日もお店に立つのだった。
最後までお読みいただきありがとうございました。